2013年2月23日土曜日

訪問看護の必須アイテム

こんにちは
訪問看護 佐々木です。

訪問看護師が絶対に持っている物
血圧計
体温計
聴診器
ペンライト・・・などなど

これ以外の必須アイテムって、何かわかりますか?

それは
「カメラ付き携帯電話」です。
単独行動の訪問看護師にとって無くてはならないものの一つです。

電話としての機能はもちろんですが、「カメラ」が私達の相棒です。

使用目的として一番多いのは、患者さんの皮膚に異変(発赤・発疹など)があったとき、カメラで「パチリ!」と撮影。
往診医や皮膚科医にコンサルテーションを行うとき、写真があるとその場で診断に役立ちます。


胃瘻の周りの皮膚に不良肉芽が・・・

例えば褥瘡を定期的に撮影することで、スタッフでその変化を見比べ、カンファレンス等でケアの方法を検討できます。

褥瘡の治癒経過を勉強中!



またある時は、ご夫婦の仲むつまじい様子を「はい、チーズ!」なんていうことも。
写真にして差し上げると、思いのほか喜んでいただけます。

看護師←→医師間だけにとどまりませんよ~。
栄養士や薬剤師、リハビリスタッフの訪問の時も、患者さんの変化をカメラに収めて、看護師や医師にコンサルテーションする事もあります。

状況説明に加え、映像があることで、判断がより的確にできます。

写真に残しておくことは、教科書では学びきれない事をチームで共有することができ、知識を積み重ねる機会につながっています。

「カメラ付き携帯電話」

訪問の現場で
患者さん・孤軍奮闘するスタッフ・そしてチームメンバーを繋ぐ、貴重で、無くてはならないツールです。

型は古いけど手になじみます・・・

※タブレット端末が導入される日も近い?????

2013年2月18日月曜日

悪くなったら受診すればいい?

こんにちは
訪問看護からの投稿です。

先日の「訪問看護をつかいこなそう」の研修で事例提供したケアマネさんから、こんな話がありました。

『利用者の状態が不安定で発熱を繰り返し、そのたび受診に行っていましたが、受診も負担になったため、主治医に訪問看護の利用をお願いしました。ところが、主治医から

「訪問看護がはいっても仕方ないでしょ。具合が悪い時は受診して入院すればいいんだから」

と言われ何回かお願いしたけどだめだったので、主治医を変えて訪問看護をお願いしました』

「・・・・・・・・・。」

憤りを感じたのは言うまでもありません。

医療の現場で「医師」と「看護師」って一番密接でお互いの仕事を理解している存在であるはずなのに、訪問看護ステーションの顧客でもある医師にすら、まだまだ訪問看護の機能や役割が浸透していない!

そして、訪問看護の必要性を訴えることにケアマネさんが奔走しているという現実。

私たち訪問看護師が、「伝える」ことにもっと力を注いでいかなければと、これからの課題を重く受け止めました。

さきのケアマネさんのケースは、入院の度に生活の質が低下していたけど、訪問看護導入によって病状の変化時は主治医と連携して自宅で点滴ができ、その後一度も入院することなく安心して生活できるようになったそうです。

訪問看護は、病状が安定し安心して生活できることをサポートします。

そのうえでその人らしくしたいことが実現できるのです。


伝えよう!訪問看護の実践を!








2013年2月14日木曜日

『訪問看護をつかいこなそう』

こんにちは。
訪問看護からの投稿です。

今日は2月9日に茂原で行われた訪問看護ステーションとケアマネージャーの合同研修

「訪問看護をつかいこなそう」

についてお話したいと思います。



「もっと早く訪問看護につないでくれれば、こんなに悪化することはなかったのに・・・・・」



介護保険が始まって2-3年の頃、ケアマネージャーからの訪問依頼に、こう思うことが少なくありませんでした。


在宅療養をしている高齢者は、些細なことがきっかけで身体の様々な機能が低下します。

何らかの理由で食事摂取量が減った
  ↓
脱水・体力低下・免疫低下
  ↓
感染症
  ↓
体重減少
  ↓
転倒・骨折しやすい
  ↓
寝たきり・褥瘡発生

この状態が悪循環となり、元の暮らしに戻ることがどんどん難しくなります。

ところが、当時のケアマネージャーは、在宅での医療ケア(尿道カテーテルの管理や褥瘡の処置など)継続の必要性が出てきた時点で、訪問看護へつなぐケースがほとんどでした。

「もっと早く訪問看護へ・・・」と伝えると、「医療処置がないのに訪問看護を頼めるのですか?」という答えが必ず帰ってきました。

つまりなにが問題だったのかというと、

当時のケアマネさん達には、

私たち訪問看護師が「リスクを把握し、起きることを予測して観察・対応する」予防の視点をもっているということが、ほとんど認識されていなかったのです。



これには、訪問看護の実践が『居宅』という空間で展開され外から解りにくいことと、利用者が病状の悪化なく過ごせている現状を十分に伝えていない訪問看護にも責任があります。

さらに、ケアマネさん側の思いとして、訪問看護に入ってもらえたらきっと悪くならずに過ごせると思っても、訪問看護師は怖い」「相談しても冷たくあしらわれそう」というネガティブなイメージがあり、輪をかけて訪問看護を依頼しにくくなっていたのです。

そこで、介護保険のケアマネジメントの入り口であり、キーパーソンであるケアマネージャーに、もっと訪問看護の役割や機能、効果を知ってもらい、「高齢者が悪循環に陥らないうちに訪問看護につないでほしい」「もっと訪問看護の実践と効果を伝えたい」とはじまった研修が
「訪問看護をつかいこなそう」でした。


その研修も今年で6回目となりました。
毎回60-70名の参加があり、講演や事例検討、フリートークの時間を組み合わせ顔の見える交流を行っています。お互いのことを理解することからはじまり、利用者のケアマネジメントにおける目的を共有し協働することで、訪問看護の実践や効果を実感してもらえるようになっています。
この研修はリピーターも多いのですが、噂をききつけて初めて参加してくれた人も沢山います。

「この研修をきっかけに訪問看護ステーションに相談しやすくなりました」
「解らないことはすぐに電話できています」
「福祉系のケアマネ―ジャーにとってなくてはならない存在です!」
「訪問看護に入ってもらって利用者さんが入院しなくなりました」

・・・・と、うれしい反応を沢山聞くようになりました。



『訪問看護がケアマネさんにとって身近で相談しやすい仲間になっている』、『訪問看護をつかってくれている』、と年々実感する有意義な研修になっています。

訪問看護をつかって、安心した在宅療養の継続とその人らしい生活をサポートするため、連携していきましょう!!

長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。







2013年2月12日火曜日

訪問看護はカバン持ち?

こんにちは。
訪問看護からの投稿です。


「訪問看護はDrのカバンをもって診察に同行するの?」


「訪問看護って何をやるかイメージできる?」とたずねると、上記のような答えが返ってくることは少なくありません。

訪問看護というと、医師の往診に同行し「血圧や脈を測定する人」というイメージが、まだまだ固定しているようです。
というより、そのイメージが変化するような機会がないまま過ぎているということかもしれません。

訪問看護師は
  • 自分の訪問バックを持って患者の家を一人で訪問します
  • 訪問看護師の役割はその方のニーズに合わせ多様です。その方に合わせていかようにも変化します。
まだよくわからない・・・
じゃあ、一体何をしてくれるの?どうやって頼むの?
うちに来てくれるの?

「訪問看護」利用で在宅療養に対しての不安や心配が軽減するだけでなく、病状の悪化も防ぐことができます!

たとえばこんなとき・・・
  • 家族は介護ができるだろうか・・・
  • 退院して病気が悪くなったらどうする?
  • 間違えずに薬がちゃんと飲めるかな?
  • 病院で習ったことが家でもちゃんとできるかな?
  • リハビリして歩けるようになったけど、家で転ばないか心配
  • 療養生活を考えると不安だらけ 仕事や収入、生活はどうなるの? など

漠然とした「不安」や「心配」を一つずつ明らかにして、病院のソーシャルワーカーやケアマネージャーと連携し、退院までのサポートをします。退院後は定期的にご自宅を訪問し、安心して療養生活を送れるようにお手伝いをしていきます。

まず、総合相談室のソーシャルワーカー
http://www.kameda.com/patients/nursing_care/nursing_care_01.html
に気軽に相談してみてください。


いかがですか?
訪問看護のイメージ、すこし変わるきっかけになりましたか?



2013年2月8日金曜日

排泄ケア勉強会〜後編

こんにちは。
若手在宅医@編集担当です。

排泄ケア勉強会で「排便」に関して勉強してきました。

後編では便秘に関して熱く語りたいと思います。

前編はこちら http://kmhomecare.blogspot.jp/2013/02/blog-post.html


(3)便秘いろいろ

便秘と言っても実は色々な種類があります。

その前に、医学用語が出てくるので、少し豆知識を・・・
いわゆる大腸とは盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸に分類されています。
上行結腸から横行結腸までを右結腸、下行結腸からS状結腸を左結腸と呼びます。

講師の先生が大腸通過時間検査を用いて行った調査では
多い方から直腸性便秘、弛緩性便秘、亢進型、左結腸性、正常、その他という順番だったそうです。
直腸型、亢進型、正常型を合わせて全体の50%で、この3種類は少なくともS状結腸までは異常なしです。


(4)排便の極意

ウンチを出すために必要な要素は3つあります。
 一、食物繊維        (十分に出す物がある)
 一、大腸通過時間      (良い状態の物が出口に送られてくる)
 一、直腸からの排出能力   (しっかり押し出せる)

 もっとも頻度が多かった直腸性の便秘について掘り下げていきたいと思います。


(5)自力で肛門は開けません!

肛門には閉めるための筋肉はありますが、開くための筋肉は存在しません。
つまり口や目のように自分で開けることは不可能です。


では便はどのように体外に出ていくのでしょうか?

それは 便意を感じた時に
    肛門を開けるためのモノがあって、
    モノに適切な力が加わることで体外に出ていきます。

直腸性便秘では以下のような原因があり、便が直腸に溜まりカチカチになり出にくくなってしまいます。
 ・便意を感じない(脳梗塞後遺症などの原因による)
 ・感じても逃してしまう(忙しい、足が悪くてトイレに行くまでに時間がかかるなど)
 ・腹圧がかけられない(姿勢を保つことができないなど)

この状態で下剤を増やしたりすると便失禁(漏らしてしまう)の原因になることもあります。
つまり便を漏らしてしまう原因の一部には直腸型の便秘が潜んでいる可能性があります。


さて後半は少し長くなってしまいましたが今回勉強した内容はいかがでしたか?
便に関して少しでも関心を持って頂ければ幸いです。

今後も勉強会で学んだことをご紹介してきたいと思いますので宜しくお願いします。

2013年2月4日月曜日

褥瘡セミナー

こんにちは。訪問看護からの投稿です。

2月2日土曜日、第9回褥瘡セミナーが鴨川グランドホテルで開催されました。


なんと、医療関係者、ケアワーカーが300人弱集まりました。褥瘡ケアに対する関心の高さがうかがえます。

今回のテーマは『褥瘡をどうみる・どう治す』
セミナーの後半のシンポジウムで、シンポジストを務めました。
テーマは「症例からみる褥瘡ケアの秘訣」

症例は、ピックアップウォーカーを使用して室内歩行は自立していた90代の男性。1ヶ月間の施設入所の間に褥瘡を形成し在宅療養を再開した時点から治癒まで、訪問看護師の褥瘡ケアマネジメントの実際を紹介しました。

ポイントは以下の3点です
1)褥瘡形成の要因を明らかにし原因を排除すること
2)患者家族の生活や介護状況、思考パターンや行動パターンを考慮した適切なケア方法を立案しモニタリングを行うこと
3)他職種へのケアの統一と役割分担

そして「褥瘡は原因の除去なくして治癒なし!!」とまとめました。

褥瘡ができると、つい創傷に注目し、薬剤やドレッシング剤をどうしようかあれこれ迷いがちですが、褥瘡はできるべくしてできたのです。

その方にとっての褥瘡発生リスク要因をしっかりと把握すること=予防に重点をおいたケアプランの重要性を参加者が再確認しました。明日へのやる気がわき出るようなセミナーでした。                   




2013年2月1日金曜日

排泄ケア勉強会~前編

はじめまして。
若手在宅医@編集担当です。

これから若手目線で日々の学んだことや感じたことなどをお伝えしていきたいと思います。

昨日は排泄ケア勉強会で「排便」に関して勉強してきました。

「排便」つまり「ウンチをする!」ということなんですが、
身近すぎて逆に真剣に考える機会は少ないのではないでしょうか?
学んだことを元に若手目線で真剣に考えたことを熱く語りたいと思います。


(1)排便は華麗なる連携プレー

   「ウンチをする」と言う行為は、実は医学的には非常に高度な業だそうです。
   便意を感じる→トイレを認識できる→トイレに行く→下着を下ろす→正しい位置に座る→
     →出す→後始末をする→衣服をつける→トイレから出る

   簡単に言うと、お尻からの刺激が脳に行き、脳からの指令で体や内臓を動かすという
   「体全部を使う華麗なる連係プレー」です。


(2)ウンチと向き合う

   南房総では汲み取り式のトイレもありますが、最近は洋式の水洗トイレが多く、
   「出た」直後に遙か彼方に行ってしまうことも珍しくありません。
   便の問題を考える時には「どんなものが出た」のかを確認する必要があります。
   つまり、もっとウンチと向き合う必要があります。

   医学的にウンチの硬さは7段階に分けられます。
   基本的に大腸を通過する時間が長ければ硬くなり、短ければ水っぽくなります。


後編では便秘についてお伝えしたいと思います。